ママが見つけた男の子の法則4

一目おく。

それから、友だちになる。

男の子の友だち付き合いはあっさりしていていいなあ、と思っていた。

下の娘のことでは「女ってややっこしい!」と何度も思っていた。

娘は4歳の時には、「友だちとおそろいじゃなくちゃイヤ!」とヘアゴムのことで大騒ぎした。

幼稚園ではもう仲良しグループができ、一緒にトイレに行くという。

その点、男の子はいい。

グループを作らない。

幼い頃のトラブルは、オモチャを取った取られた、噛んだ、ぶったという単純なもの。

小学生になると、遊ぶ友だちは目的別。

今日は野球をしたい友だちがここに集まる。

ゲームをする時はだれとだれが集まるという具合だ。

しかし、「男の子は人間関係は楽だ」なんて言っていられたのは、小学3年生の時までだった。

じつは男の子の人間関係もやっぱりたいへんだった。

そこには、男の子ならではのルールがあった。

「からかわれる」試練

ユウタの表情が暗いなと気づいたのと、「通学の時、リクくんたちに突っつかれていたわよ」と近所のママが教えてくれたのは、ほぼ同時だった。

ユウタとリクくんは幼稚園からの友だちで、サッカーチーム仲間だ。

4月生まれのユウタは身体が大きくしっかりしているのでリーダー的な存在。

一方、ひ弱なリクくんはユウタの後をついてまわっていた。

ところがユウタは運動神経がにぶい。

仲間はサッカーが上達しているのに、ユウタは取り残された。

そうなると、男の子は残酷だ。

サッカー仲間が、何かというとユウタをからかい始めた。

イジメているのではない。

ふざけてからかう。

だから、ユウタも一緒に笑っている。

でも無理して笑っている。

辛そうだ。

こんな時、親はどうしたらいいのだろう。

パパは「ユウタが自分で強くなるしかないんだ」と言う。

わたしにはそうは思えない。

ユウタがかわいそうでならず、何かできることはないかと焦るばかりだった。

でも、パパがユウタに「最近、サッカーはどうだ」とさり気なく話しかけると、驚いたことに本人がポッポッと、仲間から取り残されていることを話し出したのだ。

するとパパは「よし、では基礎トレーニングをしよう。休日は一緒にランニングだ」と宣言。

パパすごい!

こうして2人のランニングが始まった。

男の子が変わる時

ユウタが変わり始めたのは2~3カ月後だ。

サッカーが上達したわけではない。

彼はどうやら「努力している自分」が好きになってきたのだ。

努力している自分に酔っている。

パパに言わせると「オレもレギュラーになれないのに、クラブは続けたから。血筋でしょ」だって。

ともあれ、表情も明るくなって、練習に元気に出かけていく。

サッカー仲間は、相変わらず、からかったりからかわれたりしているが、ユウタの表情は屈託がない。

ユウタは、ひとまわり大きくなった。

自分のいいところを見つけて、それを自信につなげるようになったのだ。

友だちとの関係も変わり始めた。

「リクはからだが小さいけれど頭がいいから、パスまわしがうまい」なんて生意気なこと言い始めた。

以前は、リクくんの長所を見ようとしていなかった。

リクくんも「ユウタは根性がある」とママに言っているらしい。

おたがいに一目おく友だちになったのだ。

男の子たちを見ていると、彼らはいつどんな時も「ボクが一番さ」と競い合っている。

どっちが早い?

どっちが強い?

どっちが大きい?に始まり、こんなこと知ってるか(ヒーローもの)、牛乳早飲み(休んだ子の分をもらえる)まで、いろんな場面で、びっくりするほど競い合う。

その上で、自分のポジションを確認して関係を作っていく。

一番になれないことは試練だ。

でも、これがだめでもあれなら一番、というものを何とか見つける。

そして「オレって結構いいじゃん」という自信をつけて成長していく。

だから、友だちづくりは、一目おく、おかれるという関係がポイントになる。

オレはこれがいいとこ。

君はこれがいいとこ。

その上で、おたがいがんばろう、という感じだ。

自分に自信がないと、この関係は作りにくい。

一番だろうとビリだろうと人間の価値は関係ないが、それが理解できるのはまだ先のことだ。

競って勝つ必要がある男の子には、親がいいところをたくさん探し出して「すごいね」と認めることが必要なんだと思う。

え?

いいところがない時はどうするかって?

「ママとパパにはあなたが一番!」と伝え続ける。

これしかない!