男の子の成長は各駅停車。

トイレ、あいさつ、ひらがな、一駅一駅、停車する。

小学校に入学して間もなく、ひらがなの勉強が始まり、「い」を10個書くという宿題が出た。

幼稚園の頃からリョウタにはなんとか「あいうえお」を覚えさせようとしたのだが、本人がまったくその気にならず挫折していただけに、この時は親としてもせっぱ詰まった気持ちだった。

リビングのテーブルに向かい合わせに座り、「さあ、やってみよう」と書かせてみる。

本人もかなり緊張している。

そして……10文字を書き終えるのに、なんと40分もかかったのだ。

終わった時には親子ともども疲れ果てていた。

一文字あたり4分。

しかも、エンピツをすごい力で握りしめているから、線が異様にギザギザしている。

何回も消しゴムを使ったために、紙は黒く汚れ無残な状態。

そして、肝心の文字の形は、どう見ても下手だ。

案の定、先生からは×印と赤字修正入りで練習帳がもどってきた。

その×印がすごく悲しかった。

リョウタの成長は各駅停車だ。

早いおそいを気にするのはよくないと思うのだが、それでもまわりの友だちより、立っちがおそい、言葉がおそいなど、気にかかることが多かった。

年子で生まれた妹が、なんでも要領よくすいすい覚えるものだから、リョウタのゆっくりぶりはさらに目立つのかもしれない。

そもそも幼稚園の妹は、1分あればひらがなを10文字書くなんて楽勝。

それどころか、漢字で自分のフルネームが書ける。

そんな妹がいることも、彼にはかわいそうかもしれない。

さて、それからしばらくして他のママと話す機会が増えてきた。

すると、もちろん簡単に文字を覚える男の子もいるのだが、リョウタと似たような子が結構いることがわかってきた。

「“の”でつまずいたわ」

「“あ”はまったく無理……」

「うちの子は2年生だけど、いまだに“す”が鏡文字になっちゃうのよ」となぐさめてくれた先輩ママもいたけれど……。

う~ん、安心していいのかな。

あと男の赤ちゃんから歯磨きをしっかりさせてくださいね。

もし評判のいい歯医者さんや口コミのいい歯科医さんがいたら教えてください♪