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大切なことは話さない。

でも、解決がついたら自分で話し出す。

幼稚園から帰ってきたシュンスケの様子がいつもと違う。

おバカなことも言わないし、「ママ、抱っこ」とまつわりついてくる。

ひざに擦り傷があったので「どうしたの?」と聞くと、「……わかんない」と言うだけだ。

そうか、何かあったんだね。

シュンスケはやがて、一人で大好きなミニカーをジコジコやり始めた。

障子の桟をレールにしているのはかなり落ちこんでいる証拠だ。

こんな時、わたしはすぐそばで洗濯物をたたむことにしている。

そして 「ママはいつでもお話を聞く用意ができているからね」という雰囲気を伝える。

これで「ママ、あのね」と話し始めることもあるし、もっと時間がたってから話し始めることもある。

話さずに終わることもある。

シュンスケは2人目の男の子だ。

長男の時は、同じようなことがあるとすごく心配して、何があったか問い詰めた。

でも、聞き出せることは少ないし、そうやって聞き出したからといって、母親としてできることはほとんどなかった。

男の子は大切なことは話さない。

自分の都合が悪いこと(先生に叱られた。いたずらをしてケガをした。保護者会がある)は話さない。

もっと大切なこと(傷ついた。いじめた。いじめられた)も話さない。

でも、本当に話す必要がある時は話す。

男の子にだって、ママに聞いてもらいたい時があるのだ。

そのためにわたしができるのは「待つ」ということ。

2人目の子どもが生まれてから、わたしは、少しだけ待つことができるようになった。

そうやって、彼が求めている時に、話をさえぎらず(何でそんなことしたの!ママがなんとかしてあげる)、ちゃんと静かに話を開いてあげられると、彼はイヤなことを消化していく。

さて、その次にわたしにできること。

それは「今晩は大好きな焼き肉にしよう!」と言うこと。

マグロが大好きな長男の場合は、「ママとふたりだけでまわるお寿司に行こう!」と誘う。

男の子のハートは胃袋と直結している。

励ましたり、慰めたりするには、食べ物がいちばんだ。