「うん、もうやらない」とかわいい返事。

でも、すぐに忘れちゃう。

聞き分けがないのではなくて、ケンタの場合は、聞いていない。

路肩の高いところに登ってはいけない、家の中でボール遊びはいけない、と何回も繰り返して注意して、その度にちゃんと「うん、わかった」と返事するのに、やっぱりやる。

公園で遊んでいる時に「トイレは?」と聞くと、絶対に「大丈夫」と答えるのに、家に近づくと、もれそうで、必死に手でおさえている。

「早めにトイレに行こうよ」、と言えば「うん」と返事するが、毎日、同じ繰り返し。

そんなケンタを見ていると、「やりたいこと」にすごく忠実。

「こうしてみたい」とか「これはおもしろいぞ」となると、その気持ちを抑えることができないのだ。

そんな時に「やっちゃダメ!」と言われると、一応は聞き分ける。

本人もちゃんと理屈では理解する。

しかし、彼には言うことを聞けない種類のことがある。

すると、「もう、やらない」→「でも、やりたい」→「よし、やろう」と、気持ちは瞬く間に切り替わっていく。

まるでテレビ画面が切り替わるように素早い。

そして、都合の悪いことはケロリと忘れ、同じことを繰り返す。

頑固だ。

でも、命にかかわる重大なことや他人を傷つけるなど、「いけない」度が高いことは、教えるわたしの真剣さや迫力が違うのか、きちんと守るところを見ると、状況を理解した上での、かなりしたたかな「忘れん坊」なのかな。